上阪徹『六〇〇万人の女性に支持される「クックパッド」というビジネス』

クックパッドがどういうサイトでなぜ人気になったかを説明する新書。
コンセプトの話や使われ方の話などなど盛りだくさんなのですが、アクセスログから動線を解析する話が面白かったです。やっぱりここまでやるんだなーというか。

あと、このタイトルは微妙かも。本当は、「六〇〇万人の女性に支持される「クックパッド」」は、実は最初のうちはなかなかビジネスになってなかった訳で、その支持をいかにビジネスにつなげていくのか、という辺りが面白い。もちろんそのビジネスを成功させるには百万を超えるファンが必要で、そのファンを支えるのは真摯にファンに向き合って来たことの結果、ということなんでしょう。

最後の方の引っ越しパーティの話のエピソードもいいですね。当たり前のような行事についても、なんでやるのか、というところから考え直していく、と。

個人的には、例のクックパッド問題の件についても触れてくれればよかったんじゃないかと思わないでもないです。会員と運営側とのトラブルってコミュニティサイトではほとんど必然のように起こる訳で、それをどのように対処したか、どのような教訓を得て、どのように活かしているか、というのは興味深いところなので(この辺りは、有料か無料かについてや、掲示板等の交流の機能をそぎ落としていって、結果的にレシピに集中したシンプルな作りになっていったことと関係があるようにも見えますし)。……とかっていうのは、外野から見た下世話なわがままあるいはきれいごと、なのかもしれませんが。