角川裕次『計算機プログラミングの基礎概念』がぜんぜん話題になってないことに絶望した件
Cとアセンブリ言語で学ぶ計算機プログラミングの基礎概念 - プログラムはプロセッサ上でどのように実行されるのか
- 作者: 角川裕次
- 出版社/メーカー: 森北出版
- 発売日: 2008/11/29
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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この本、平台じゃなくて棚の方に面陳になっていたのを見かけ、気になったので読んでみたところ、意外に面白かったんで買ってみました。
プログラミング言語の基本的な概念をCを使って説明するにあたって、Cのコードをアセンブラにコンパイルした結果も並べながら説明するという、『プログラミングの力を生み出す本』とかに似た風味の本です。あちらとの違いは、
といった辺りですね。
それと大きな違いとしては、この本では最後の方になると「マルチスレッド」「スレッド同期」(要するにmutexとかmonitorとか)「例外」「非ブロッキング並行データ構造」とかいう章題が並んでいて、モダンな概念についての目配せが聞いているところ。いかにも今風でいい感じです。なんていうか、『プログラミングの力を〜』が現場での実戦叩き上げ系とでも言える一方、こちらは研究系というか、大学の学部向けカリキュラムに使えるよう、教科書としてチューンされている感じです。
教科書的なところといえば、例題で、
4-2 以下のビットパターンそれぞれをIEEE754単精度で表された数とみなし、十進数で示せ。
(a) 0 10000101 10101000000000000000000
(略)
4-3 以下のビットパターンそれぞれをIEEE754倍精度で表された数とみなし、十進数で示せ。
(a) 0 10000000101 1010000000000000000000000000000000000000000000000000
(略)
とかって載ってるのも、一瞬ネタなのか不安になりそうで素敵です(引用の桁数は間違ってるかも)。森北出版がついに本気出してきた感があります。
ていうか、この著者名ってどこかで聞いたことあるような……と思ったら、VFlibとかTTYPLAYERとかCAMPUS LIsPの人じゃないですか! それを先に言ってくれないと!(<逆切れ)
http://www-masu.ist.osaka-u.ac.jp/~kakugawa/hacks/
(以前のサイトの方が馴染みのある人が多いかも)
にも関わらず、はてなでもtechnoratiでもgoogleブログ検索でも、この本に触れているblogはものの見事にないようです。もったいない。森北だからスルーされてたんですかね……。
あ、amazonでは『Cプログラムの中身がわかる本』も近いと書いてありますね。こっちは読んでないです(って、これも今年の本なのか! うう、ノーマークだった……明日札幌で探すか……)。つか、教科書向けにかっちり書いてある本に対して、「先に出ている類書で、簡潔で分かりやすい本があります」というのは別に欠点の指摘にはなってないような。というわけで、手堅い記述が大嫌いというひとでなければ、ふつうにお勧めできる本だと思います。