『文藝 2009年夏号』の谷川俊太郎×穂村弘対談がたいへん楽しい件

文藝 2009年 05月号 [雑誌]

文藝 2009年 05月号 [雑誌]

穂村弘特集。対談とインタビューとその他。その中で谷川俊太郎のインタビューがよかった。穂村さんが谷川俊太郎作の短歌(!)を持ち出して来て、それを論評する。いわく、形式的には短歌だけど、実質的には二行詩にしかなっていない、と。また別の歌を持って来ては、

「本棚にプランクトンの本があるこの一刻は無へと近づく」。これは後半の「この一刻は無へと近づく」がもう少し長くないとポエジーが発生しきれない気もするんだけど、短歌の音数に合わせるためにやや刈り込んだ印象を受けました。だから基本は詩を刈り込んで短歌の形にしているのかな。

みたいなことをあれこれ論じていく。
穂村さんはひたすら短歌を理でばらしていく技を持っていて、これは叙情と論理の相克がたいへん楽しいのですが、その手法が谷川さん相手に遺憾なく発揮されて大変楽しいです。そういえば高橋源一郎の詩を谷川俊太郎があれこれ論じるのがあったなあと思いつつ、ちょうどあれの逆バージョンのようで何やらおかしい感じです。

『短歌の友人』もやっぱり買おうかしら。