友桐夏さん

って、鈴木奈央子さんだったんですか?!?! 全然気づかなかったよ!(<って、デビューの紹介記事にも書かれていたのを今さら発見。まったくどこを読んでいたのやら)。
鈴木奈央子さんといえばコバルトロマン大賞とかの投稿常連で、短編新人賞も取られている方なのでした。さっきちょっと古いCobaltを読み返してたら、1998年のロマン大賞で2次予選を通過してたみたいですね(ちなみに1998年といえば、深谷晶子『サカナナ』とか片山奈保子『ペンギンの前で会いましょう』とかの時代です)。それがリリカル・ミステリー書きになるとは。びっくりだよ。
これだけ長い投稿歴があって、あの作品とかこの作品とかを書く人だったら、きっと大丈夫でしょう。今後に期待が持てそうです。

若竹七海『心のなかの冷たい何か』

ついに文庫化ですよ奥さん。
このタイトル、グレアム・ヤングの言葉からとったものだったりするんですよ。時間の流れを感じますね……。
この作品、若竹七海さんの、傑作、といってしまうとちょっとまずいんだけど、すごく頑張ろうとしていまいち整理がついていない、んだけど、好きな人はものすごく好き、という困った作品です。もちろん私は大好きです。ある意味、若竹ベスト1。クリスマスにも最適(<ちょっと嘘かも)。

そうそう、友桐夏って七海さんっぽいんですよね。作風とかは全然違うし、率直に言って、友桐さんは拙いところが多々あるんですが、ミステリというか、仕掛けに対する態度というか。

新井素子『あたしの中の……』

今日もついつい一冊買ってしまう。
それにしてもこの作品は『心のなかの冷たい何か』よりもずっとずっと古い、1978年の作品だったりするわけですよ(あとがきが間違っているのはid:akaponさんの指摘(id:akapon:20051222#p1)の通り。1977年は表題作の受賞結果が発表された年ですね)。それでも一応読むに耐える出来になっているのはすごい。もっと経年劣化が激しいかと思っていたのですが、とりわけ『大きな壁の中と外』なんかは未来の作品ということもあり、瑕はあまり目立ってません。
そう、『大きな壁の中と外』なんですよ。正直、表題作は特に好きでもないんですが、『大きな壁の中と外』はとても思い入れの強い作品で、私のSF原体験というか原風景のような気もします。作中の仕掛けとか、世界観とか、ストーリーてリングとか。こういう作品が、表紙も新しくなって、ちゃんと本屋に並んでくれている、というのは、とてもとてもうれしいことなのです。ちょっとは売れて欲しいなあ。「ああ、昔読んだけどおぼえてないからまた読んでみたいな」とか「初めて聞いたタイトルだけど、昔のラノベも読んでみたい」とか思われた方はぜひ読んでみてくださいませ。