新井紀子・新井敏康『計算とは何か』

計算とは何か (math stories)

計算とは何か (math stories)

お名前が新井素子さんと一文字違いなので微妙に緊張する、とかいうどうでもいい(よくないけど)話はおいておいて。

算数でも数学でもなく、「計算」とは、という話なのですが、別に計算論を始めるわけではなく、加減乗除とか平方根の開平みたいなところや、三角関数の計算を経由して、いったんアルゴリズムの話に寄り、そしてまた実数の計算などに戻ってから、最後にチューリングがさらっと出てくる、という感じの本。算数(算術)と数学とコンピュータサイエンスを横断しながら、あまり偏らず/深堀りしすぎずに「計算」というもの全体の地図を作る、という本。

前著の『数学は言葉』もそうでしたが、新井さんは何かストーリーの組み方が面白いですね。オリジナリティあふれる、というと語弊がありそうですが、こういう切り口で語るのは今までなかったけど、でも面白いよね、みたいなものを見つけるのが上手な印象。あと、微妙に計算機寄りなところがちょっとうれしい感じ(これは好みですが)。

ちなみに新井紀子さんとはとある企画でご一緒させていただく予定だったりします。でも新井さんのお仕事は幅が広くて、どういう風な切り口がいいのかよく分からないのでちょっとまだ悩み中です。はい。