SFのすすめ方・2009年春
今日の花見で、SFを勧めてほしい、という(軟弱SF者にとっては)鬼のように辛い質問をされました。ので、ここに回答例を書いておきます。
質問者その1「海外SFの古典を読んだので、もうちょっと新しいものを読みたいのだけれど何を読めばいいか。多少ハードなものでも可。古典の中で気に入った作品は『火星年代記』とかP.K.ディックとか。」
21世紀の現代海外SFなら、とりあえずイーガンを勧めることになっています。個人的には「貸金庫」が大好きなので『祈りの海』から読まれるのがよいかと思いますが、面倒だから最高峰の『ディアスポラ』を読むのもよいかと。あ、『しあわせの理由』も好きです。ていうか、まあイーガンなら何を読んでもおすすめなんですけど。
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とはいえ、ブラッドベリやディックが好きな人がイーガンなのはちょっとあれかも。そんなにサイエンス寄りじゃない方がいいような気もします。
そう言えば花見では言い忘れてましたが、ティプトリーも、もう古典かもしれないですけどぜひ読んでおいていただきたい。個人的なおすすめは「ビームしておくれ、ふるさとへ」が超大傑作なので『故郷より10000光年』かなあ。
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あーあと、コニー・ウィリスもよいですね。世間的には『航路』の評判がいいですが、意表をついて『リメイク』もいいです。というか、好きです。
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あと、ホーガンは読んで面白かった、とのことなので、個人的に『未来の二つの顔』『造物主の掟』はおすすめしたい感じです。前者は古き良きAIな感じが好きなのと、後者は機械生命体のおちゃめっぷりが愛らしい。
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造物主(ライフメーカー)の掟 (創元SF文庫 (663-7))
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ああ、あと、ハローサマー・グッドバイなんかも勧めておいた方がいいでしょうか。これは最近の作品ではないですが、最近再訳されて出た本です。
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質問者その2「SFはよく知らないんだけど、国内ものでおすすめがあれば読みたい。SFじゃないけど面白かった作家は伊坂幸太郎とか。ハッピーエンドとか、前向きな終わり方がする話が好き。」
うう、これは難しい……間違っても円城塔とか伊藤計劃とかは勧められないよなあ……。
でも伊坂幸太郎はSFも書いてますよね。私はあんまり読んでないんですが、『終末のフール』なんかはふつうにSFですね。あ、ちなみに同じような設定の小説では新井素子『ひとめあなたに……』というのもあって、個人的には死ぬほど好きなんですが、あんまり明るい話ではないです。はい。
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そういう路線なら、小川洋子とか、桜庭一樹とかのメジャーな作家路線で行くとか。小川洋子なら『密やかな結晶』が伝統的な破滅SFのフォーマットにのっとりながら、非常に静謐な終焉の姿が美しいです。楽しい話じゃないですが。
桜庭一樹なら、『赤朽葉家の伝説』を(さすがに『推定少女』は勧めがたい)。SFかどうかよりも、小説としての力はあるんじゃないでしょうか。
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あとは恩田陸とか。恩田陸でおすすめはどれだろう……SFと言っても微妙な感じのものもあるし……まあ、『ロミオとロミオは永遠に』はSFマガジン連載ですし、SFとしても鉄板かと。面白いかどうかは人によりそうですが。
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あと、「星新一ってSFじゃないですよね?」とかすごいことを聞かれたんですが、ふつうにSFです。星新一は小松左京、筒井康隆と並び、日本SFを代表する一人です。筒井康隆は『時をかける少女』でさすがに知っているようでしたが、小松左京は……とりあえず『日本沈没』ですかね。当時日本で一番売れたSFです。今読んでも面白いです。が、人によっては『復活の日』の方がいいかも。
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……うーん、いろんな意味で偏ったおすすめだな……すみません。