葉月かなえ『好きっていいなよ。』の第2巻も相変わらず素晴らしい件

いまいち売れてるんだか売れてないんだかよく分からないのだけれど(私の周囲で読まれてないだけで、ほんとはたぶん売れてるんだと思う)、個人的には去年読んだマンガの中でも一押しの面白さを誇るシリーズ。

切実さ、を感じる。のがいいのかも。
先日とあるところで話したのだけれど、一昔前の少女マンガ(大人向けの少女マンガではなく、中高生向けのそれ)では、男と寝るのはゴールで、そこに至るまでの心の動きや焦燥感、切なさを描いていたのだと思うのだけれど、今の少女マンガは違っていて、セックスはまだまだスタートの一部でしかない、ように思われる。彼氏と寝ても埋めることの出来ない心の隙間や焦燥感。そんなものを思春期で持ってしまうのは、ある意味、不幸なのかもしれないけれど、それでも、そうして精一杯生きているのだろう。

橘めいや大和はさておき、中西にしろあさみにしろ早川にしろ愛子にしろ、それぞれのキャラクターの光の部分と闇の部分、その両方を丁寧に描いているのがとても心地よい。脇役がしっかり描かれていると、メインのキャラが光るんですね。厚みが出るというか。

本当に少女マンガ少女マンガした少女マンガで、大人向けの作品ではないので誰にでもオススメする訳ではないのですが、良く言えば「大人に媚びてない」とも言えるかも。大人向けの作品が読みたけりゃ大人向けのマンガでも読んでりゃいいんです。ちゃんと評価されるといいなあ、と思います。

そういえば、葉月かなえの『時には玩具のように』も読みました。こちらは昔の作品(といっても4年前とか5年前)の再刊で、

卒業した学校へ、アルバイトで戻ることになった私。
そこには在学中にセフレだった先生がいて…。
昼は先生と、夜は彼氏と…二重H生活!!!

とかいうすごい表題作とその他の短編集なんですが、うーん、こっちはちょっとというか、この数年の成長の目覚ましさを感じてしみじみします。はい。