『これからはじめるHTML&スタイルシートの本』にHTML入門書の進化をしみじみ感じた

これからはじめる HTML&スタイルシートの本 (自分で選べるパソコン到達点)

これからはじめる HTML&スタイルシートの本 (自分で選べるパソコン到達点)

こんな日記を見に来るようなひとには本来不要な本なんですが、HTMLを手書きではじめて10年選手な人こそ読んでみて時代の流れを感じられる素敵な本。

内容は、本当に10年前からあったようなHTMLの入門書です。FFFTPのインストールとか、メモ帳の立ち上げ方(!)とかから載ってるようなやつで、HTMLのサンプルを作りながらタグを説明していきます。最終的にできるのは、「グルメページ」と「プロフィールページ」の2つだけ、という最低限の構成。ページ数も180ページ足らずなのに文字も大きめで図版も多い、という、ほんとに「最初の1冊目」感あふれる本になっています。

が、この本の特筆すべき点は、まずは紹介されるタグの種類にあります。全8章のうち、2章から4章までがタグの紹介になっているのですが、ここで紹介されるタグは以下の通り。

  • 2章:html、head、body、title、h1、h2、h3、p、br、ul、li
  • 3章:hr、img、table、tr、td,
  • 4章:a

なんかすごく少ないと思いません? そう、bとか、strongとか、fontとか、その手の装飾用タグの説明がない、というか、最後までぜんぜん出てこないのです。おかげでここまででできあがるHTMLはひどくそっけないページになってしまってます。

そして、その代わりに出てくるのは、もちろんスタイルシート。5章ではスタイルシートの概要説明、6章ではスタイルシートによる文字の装飾、7章ではページデザインが説明されています。ここまで来て、はじめて見栄えのよいページができあがります。つまり、文書構造はHTML、見た目はスタイルシート、という理想的な使い分けが、一寸の疑いもなしに徹底されているのです。それもごく自然体で。

そんなわけで、「文字の大きさを変更してみよう」というところでは、

body{font-size:14px}

とか書かれているし、「文字や文字の背景に色をつけよう」という節では

h2{
       color:#ffffff;
}

とか書かれてしまうわけで。さらには画像の回り込みとかテーブルの枠線を説明する前に、インライン要素とボックス要素の説明があったりするし。

そしてここまで現代的な流れの説明になっているにも関わらず、Web標準とかなんとかというお題目は何も説明されません。「なんでタグで装飾するの? ふつうスタイルシートでしょ?」という暗黙の空気。

そろそろゼロ年代も終わりにさしかかる今日このごろですが、HTMLの入門書もここまで現代化されるのか、としみじみ感じました。

会社のプログラマなひとと、「こういう本でHTML勉強したひとがレガシーなサイトみて、「fontタグってなんですか?」「なんでここでテーブル使ってるんですか?」「セルごとにタグ書くんだったら、スタイルシート使った方が速そうなのになんでこんな書き方してるんですか?」とか素で質問されたらすごく嫌だよねえ」という話をして笑ってました。そういう新人さんの出現を予想させる、時代の流れを感じられる一冊です。