『これからはじめるHTML&スタイルシートの本』にHTML入門書の進化をしみじみ感じた
これからはじめる HTML&スタイルシートの本 (自分で選べるパソコン到達点)
- 作者: 中邨登美枝
- 出版社/メーカー: 技術評論社
- 発売日: 2008/07/29
- メディア: 大型本
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こんな日記を見に来るようなひとには本来不要な本なんですが、HTMLを手書きではじめて10年選手な人こそ読んでみて時代の流れを感じられる素敵な本。
内容は、本当に10年前からあったようなHTMLの入門書です。FFFTPのインストールとか、メモ帳の立ち上げ方(!)とかから載ってるようなやつで、HTMLのサンプルを作りながらタグを説明していきます。最終的にできるのは、「グルメページ」と「プロフィールページ」の2つだけ、という最低限の構成。ページ数も180ページ足らずなのに文字も大きめで図版も多い、という、ほんとに「最初の1冊目」感あふれる本になっています。
が、この本の特筆すべき点は、まずは紹介されるタグの種類にあります。全8章のうち、2章から4章までがタグの紹介になっているのですが、ここで紹介されるタグは以下の通り。
- 2章:html、head、body、title、h1、h2、h3、p、br、ul、li
- 3章:hr、img、table、tr、td,
- 4章:a
なんかすごく少ないと思いません? そう、bとか、strongとか、fontとか、その手の装飾用タグの説明がない、というか、最後までぜんぜん出てこないのです。おかげでここまででできあがるHTMLはひどくそっけないページになってしまってます。
そして、その代わりに出てくるのは、もちろんスタイルシート。5章ではスタイルシートの概要説明、6章ではスタイルシートによる文字の装飾、7章ではページデザインが説明されています。ここまで来て、はじめて見栄えのよいページができあがります。つまり、文書構造はHTML、見た目はスタイルシート、という理想的な使い分けが、一寸の疑いもなしに徹底されているのです。それもごく自然体で。
そんなわけで、「文字の大きさを変更してみよう」というところでは、
body{font-size:14px}
とか書かれているし、「文字や文字の背景に色をつけよう」という節では
h2{ color:#ffffff; }
とか書かれてしまうわけで。さらには画像の回り込みとかテーブルの枠線を説明する前に、インライン要素とボックス要素の説明があったりするし。
そしてここまで現代的な流れの説明になっているにも関わらず、Web標準とかなんとかというお題目は何も説明されません。「なんでタグで装飾するの? ふつうスタイルシートでしょ?」という暗黙の空気。
そろそろゼロ年代も終わりにさしかかる今日このごろですが、HTMLの入門書もここまで現代化されるのか、としみじみ感じました。
会社のプログラマなひとと、「こういう本でHTML勉強したひとがレガシーなサイトみて、「fontタグってなんですか?」「なんでここでテーブル使ってるんですか?」「セルごとにタグ書くんだったら、スタイルシート使った方が速そうなのになんでこんな書き方してるんですか?」とか素で質問されたらすごく嫌だよねえ」という話をして笑ってました。そういう新人さんの出現を予想させる、時代の流れを感じられる一冊です。