『ひとめあなたに…』の解説が楽しすぎる件

そしてもちろんこちらも買ったわけですよ。

ひとめあなたに… (創元SF文庫)

ひとめあなたに… (創元SF文庫)

「JRがまたスト始めたの?」

の一言でもう感動の涙が止まりません。……いや、これは角川文庫版では「国鉄がまたスト始めたの?」という台詞だったのに、時代に合わせて手が入っているのでした。こうしてまた寿命が延びるわけですね。新しい読者にも恵まれるといいなあ。

という話はさておき、あとがきがもう公開されている以上、気になるのは解説なわけです。しかも今回は東浩紀。『ミステリーズ!』の素子さん論は相変わらず素晴らしいので、ここは期待度十分。

ところが。

いやー、ハードな作品論が出てくるかと思いきや、要約すると「ぼくは新井素子が好きだ」「新井素子は特別な作家だ」以外のことが何も書かれてない(に等しい)、ファンレター系の解説ですよ! びっくり。まさかそう来るとは。いやまあ確かに正しい選択だとは思いますが。

この手のファン意識全開型解説ですと『ハッピー・バースディ』の有川浩の解説を思い出すわけですが、有川さんのにはちょっと文体に遊びが入っていたのと比べても、「新井素子さん――(略)――の解説を依頼された。とても嬉しい。」などと、ストレートに書き記す東さんのスタイルは読んでて清々しいものがありました。『ミステリーズ!』の続きも期待。