鈴木芳樹さん

のお通夜に行ってきました。

id:yskszkことよしきさんとは、もともと大学院の頃(まだ私が札幌にいたころ)、ミステリMLで知り合いました。で、就職して東京に来たとき、創元推理倶楽部の東京分科会に誘ってくれたのがよしきさんだったと記憶してます(他にもいたかもしれませんが、でもミステリMLと東京分科会の両方に出入りしてた人はまだ少なかったと思う)。私が内地でミステリやSFの人とリアルで交流するきっかけになったのは東京分科会なので、まあ、よしきさんがいなかったらわりとぜんぜん違う交友関係が出来上がっていたことでしょう。感謝しています。

とはいえ、ここ数年はほとんど会う機会もなかったのですが、2005年には高橋メソッド本を出すときに、私一人ではにっちもさっちもいかなくなったとき、よしきさんに助けてもらいました。やー、あのときはほんとにごぶさただったのにも関わらず、いきなり仕事を押し付けてしまって恐縮でした。多謝。

その後もネットではちょこちょことやりとりがあって、最後は先月Twitter文学少女の話をしたことでしょうか。その後で本もちゃんと読まれたようで、よかったです。でも、下巻が読めないのはざんねんですね……。

それはともかくお通夜ですが、親族の方以外には、ライター関係のお知り合いの方と、ミステリ方面でのお知り合いの方が多数いらしていたように見受けられました。ミステリ方面では、10年前にしょっちゅう会っていたミステリMLのオフ会関係者が多数というかほぼ勢ぞろい、というくらいの勢いで来ていて、たいへん懐かしい感じ。ほとんどの人が5年以上会ってないくらいだったので。ほんとによしきさんがこの場に入ればすごく喜んでたよねえ(というか調子に乗ってビール飲みまくってさんざん暴れて途中で寝てそう)、と話してました。

うーん、なんかうまく書けないですね(いつものことですが)。話を変えよう。とりあえず、よしきさんはライターなんですから、彼の書いた本の紹介でも。

スローブログ宣言!

スローブログ宣言!

個人的によしきさんの書いた書籍のなかで、一番のよい作品だと思っているのは、この『スローブログ宣言!』です。
この本は、「教科書には載らないニッポンのインターネットの個人史」とでも呼ぶべき本で、日記リンクスやテキストサイトの時代からブログの時代へと移りゆく中、淡々と(時には書かなくてもいいことを書いてぼこぼこに突っ込まれたりしながら)日記を読み、そして書き綴っていったよしきさんの視点によるブログについてのエッセイみたいな形になっています。特に、ブログを取り巻くさまざまな問題(アフィリエイトとか無断リンクとか)について、決して断言せず、逡巡しながら思考を深めていく、というスタイルが特徴的で、よくも悪くもリアルのよしきさんの性格が反映されているように思います。どちらかというと、いい方に。
なんというか、素晴らしいカリスマ著者による素晴らしい本、というわけではありません。とはいえ、そもそもブログというのは、ひとにぎりのカリスマブロガーによるものではなく、多くの無名だったり狭いところだけで有名だったりするブログユーザによって広まり支えられてきたものだったはずです。そのような、等身大のブログ書きの一人であった著者が、考え、悩み、揺れていたその様子を真摯に書き記されているのがこの本です。大げさに言えば、ブログ勃興期の「時代の証言」として、今後ともずっと読むに足る本になっていると思います。というわけで、良かったら読んでみてください。

最後に、私の日記に対して、よしきさんがはてぶでコメントしてくれたものをひとつだけ。コメントの内容が、とてもうれしかったのをおぼえています。

http://b.hatena.ne.jp/yskszk/20070429#bookmark-4591405