SFセミナー

に行ってきました。

昼の部はつつがなく。なんかRubyKaigiのことを考えたり(会場が同じなので)、JavaRubyの間で活躍されていた方をしのんだりしてました。

夜の部は、ハヤカワJコレ企画、ファン交出張版の本棚企画と星新一企画に参加。

この3つの中では、なんといっても円城塔さんでしょう。今度Jコレから新作を出される方ですが、わりと期待できそうです。バカネタっぽいけどそれだけでは終わらない、という作風は評価が分かれるかもしれませんが、ぱっと読んだ感じでは文章が安定していて、安心して読めました。
SFマガジン用に手加減なしに書いた作品も読ませていただきました。志村さんから話を聞いた時点のプロットよりは若干もっさりした感じがありましたが、こういうのが書ける人がいるのはうれしいですね。手を入れて掲載されるといいなあ。
あとで思ったのですが、『雪風に出会う前の神林長平』みたいな感じかもしれません。本人の指向性と合うテーマがまだ見つかってなくって、能力がまだ持て余している、というか。鉱脈を見つけることを期待してます。

本人のキャラクターも面白かったりしたのですが、それはまた別の話。Rubyなひと向けには「ごとけんさんの知り合い」というのもポイントです(<Rubyとは関係ないですが)。

本棚企画は、以前にもやった企画の続きというか実践編のような感じ。もうちょっとディテールが知りたかったのですが、時間の都合から行くと難しいですかね。風野邸は4〜5年後くらいの、そろそろ限界を超えたであろうころに再度企画していただきたいです。

星新一企画は、もちろん最相葉月星新一 一〇〇一話をつくった人』が出たのにちなんでの星新一回顧企画。某名古屋の人の「小学生はみんなドラえもん星新一から入る」という偏った世界観が炸裂してました。

  • SFは新しいことへのチャレンジの方が評価されやすいため、歴史物に手を出しながらも結局ショートショートへの回帰というのは評価されにくかったのかも
  • 星新一の晩年は「空気の読まない人=空気を読まなくてもいい人」だった
  • 星雲賞についてはあの本の記述とはちょっと違う
  • 現役最年長は今日泊亜蘭(笑)
  • 1001編達成後の作品の評価が低すぎるのでは(ドラマチックに話を作りすぎている?)。『つねならぬ話』は忘れてはいけない
  • 星新一は今でも新刊が何十冊も出ている(理論社とか)。この10年でもっと多くの新刊を出したSF作家では
  • 帯に書かれた文庫発行部数が三千万部というのは新潮だけの話で、角川や講談社を合わせるともっと行く

いろいろ気になるところはあるとはいえ、本としては力作であり、SFプロパーで作家星新一の情報を詳しく知っている人でも得られるところが大きかった、という意味では、傑作であることはゆるがないようでした。