最相葉月『星新一 一〇〇一話をつくった人』
- 作者: 最相葉月
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2007/03
- メディア: 単行本
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素晴らしかった。傑作。星新一の名前を知っている人はもちろん、あまり知らない人でもぜひ読んでほしい一冊。
以下、個人的な感想を。
星新一と言えば、私にとってはショートショートの書き手であり、自分が中学生の頃に小説を読むことの入り口となってくれた人でもあります。が、それ以上に「17歳の新井素子をSF作家として世に出した」という、私にとっては何よりも重要なことを成した方です。そういう私にとっては、440ページからの数ページは(デビュー当時のエピソードはほぼ既知のことだったとしても)やっぱり読んでて泣きそうになりました。
それと、星新一が賞をとれなかったことを不満に思っていたエピソードが書いてありますが、素子さんが日本SF大賞を受賞した作品『チグリスとユーフラテス』は、星新一に読んでもらおうと思いながら、星新一を意識して書いた小説だ、と素子さん自身が書いています。『チグリスとユーフラテス』単行本版あとがきでも、そして受賞の言葉「肩書きはSF作家」(『SF JAPAN MILLENNIUM:00』31ページ)でも。星新一自身は受賞できなくとも(第19回(1998年)の特別賞を死後受賞しているとはいえ)、星新一に読んでもらおうと書かれた作品が受賞できたことには、意味深いものを感じます。
あとは、星新一の作品論が読みたいですねえ。今日お会いした林さんに聞いてみたら、まとまったものはまだ出ていない、とのこと。今後に期待。
追記:GWに行われた「SFセミナー」というイベントの合宿企画「おーい、星新一」で、この本について突っ込んだ発言がありました。そのうちのいくつかをかいつまんで書きました(id:takahashim:20070430#p1)ので、参考まで。