菅聡子編『〈少女小説〉ワンダーランド』

「少女小説」ワンダーランド―明治から平成まで

「少女小説」ワンダーランド―明治から平成まで

これは素晴らしい!
明治から平成まで、少女小説を歴史的に眺めているんだけど、わりとミーハー色というかファン意識が強く出ていて、出版社名のわりにはお手軽に読めます。インタビューも本田和子と田村弥生(コバルトの生き字引みたいな人、ですよね)とでうれしい。基本的にはコバルト中心史観な気もしますが、謎の名台詞企画では、氷室冴子新井素子久美沙織に加えて花井愛子や秋野ひとみ、倉橋燿子、折原みとから雪乃紗衣野村美月と手広く並べています(さすがにミーハー過ぎかもと思いつつ)。
mixiではちょっと冷ややかな評が多かったですが、そんなのは計算済みというごとき本田さんのインタビューの中の言葉が光ります。

でも、こんな大げさな言挙げは「少女」には似つかわしくないようですね。「大切なもの」を肩肘張ることなく、クスクス笑いながら「したたかに」手放さない。私には、そんなところが「少女の本文」のように思えているのですが……

吉屋信子とかコバルトとか少女小説が好きな人・好きだった人には強くおすすめ。