『好きっていいなよ。』は葉月かなえの「本気少女マンガ」だと思う。

好きっていいなよ。 1 (デザートコミックス) (KC デザート)

好きっていいなよ。 1 (デザートコミックス) (KC デザート)

うん、これはすごく良かったです。ちょっと驚いた。

普通にこれだけ読んでいればそんなに驚きはしなかったかもしれませんが、『ガールズドロップス』『あれもしたい、これもしたい』を読んでからこれに来ると、その成長、というよりは短編と連載の差なのかもしれませんが、違いがくっきり出ますね。

いじめられっ子体質で彼氏も友達もいない女子高生橘めいが、学校一のモテ男の黒沢大和に気に入られる、というそれなりによくありそうな話ではあります。が、めいの非モテっぷりがストレートなんだけど、露骨に悲惨さを売りにするほどではないのと、あさみっちや中西や、新井などのサブキャラや一話だけのキャラクターもいい味出しているところとか、しっかりしていて。

作者のあとがきで、「わたしもどちらかというと主人公のめいと近い学校生活を過ごしてきました。」「いつか漫画で、こういうテーマのものを描けたらな、と思っていたので」とあったのは、これまでの作品の傾向からすると意外なようにも思えながらも、ある種納得できるところもありました。正直、『ガールズドロップス』とか『Sweets day』とかは普通に他人に勧めることはほとんどないだろうし、『あれもしたい、これもしたい』も短編集なせいもあってそっけないところもあるのですが、『好きっていいなよ。』ならふつうに「面白い」とお勧めできます。

裏表紙の惹句は『彼の「本気チュー」が、あたしの人生を変えた。』ですが、この作品自体が葉月かなえの「本気少女マンガ」なんだろうな、と思いました。

追記:そういえば葉月かなえ、というか『好きっていいなよ。』はキーワード検索で結構リファラが残ってたんですが、ほとんどがケータイ(au)の検索からのアクセスだったのが興味深い。読者対象がその層(しかない)なのだろうなあ。でもでも、このタイトルで検索かけるあなたのセンスは悪くないよ、と間違ってこんなサイトに辿り着いてしまった女子には伝えたいです。

それと、『Sweets day』は、全体としてはちょっと……と思いつつ、ラストの「愛していいですか。」の微妙な空気(明確に落とさない)のは悪くないと思いました。