志村五郎『記憶の切繪図』

記憶の切繪図―七十五年の回想

記憶の切繪図―七十五年の回想

谷山・志村予想』の志村五郎のエッセイ。
ざっと読んだ感じでは、厳しい人というか、確固たる信念を持って、それをがんがん押し通す人、という印象。
ぴきぴきとした、いかにも理系らしい短文からなる文章の中、谷山のことが随所に現れる。谷山が31歳で自死した時に書いた回想の文章の動機、谷山・志村予想についての二人の関係なども。
付録も重要。付録2で、日本人は真似が上手いが創造力が足りない、という俗論に対し、「日本人は世界で最も創造力に富む国民の中に入るのではないかと思う。」と言い放っているのが興味深い。