XP2.0とKent Beckの失敗

メモ。

XP2.0 chap.23のアレグザンダーの話は、Kent Beck自身の話でもあると思います。

彼もまた、いったんデザインパターンで失敗したのでした。顧客と開発者の間で使える言語を夢見たパターン言語は、しかし開発者が独占することになってしまいました。顧客がデザパタを使えるようになることはありえないでしょう。そしてそれを間違ったことだと、失敗だったと思っている開発者はほとんど皆無でしょう。だって、ふつうそんなこと思わないですよね?

……その、「ふつうそんなこと思わない」という状態になってしまったことこそが、Kent Beckの敗北の証拠そのものなのでした。

それを踏まえてか、アレグザンダーの話を完全に落としたXP1.0を発表したKent Beckが、XP2.0でまたアレグザンダーの話を書いてしまう。そして、この先の半世紀、ソフトウェア開発に明るい将来を見出すには、アレグザンダーが夢見た、そしてパターン言語でKent Beck自身が夢見た、開発者と顧客のバランスが適切にとれた世界を実現するしかない、と書いてしまう。夢破れた者の、再起を賭けた挑戦。それがXP2.0なのです。たぶん。

……という話をデブサミでしたいんだけど、どうやっても収まらないのでした。うう。