竹岡美穂・10年の軌跡

全国150万人の竹岡美穂ファンのみなさまこんばんは。今日は、竹岡美穂さんデビュー10周年にあたり、その栄光の軌跡を振り返ってみたいと思います。

ちなみに作品リストとしては、『空翠の間』を参考にさせていただきました。かふうさん、ついに画集が出て良かったですね!

1998年

竹岡美穂さんがCobaltの12月号でデビュー。第9回イラスト大賞受賞です。カラーページでは『龍と魔法使い』のイラストと自由作品が載ってますが、色使いは今の作品に通じるところが当時からあるような。選評でも「カラーが淡いけど目立つ色使い」「特に目のぼかし方がキレイ」と書かれています。
同じ号には、浩祥まきこさんの『祝福の日』という短編の挿絵も描かれています。これはクリスマス譚で好きな作品のひとつでもあるんですが、美穂さんのイラストも素敵です。

ここからしばらくは、コバルトモノクロイラスト職人時代が続きます。

1999年

深谷晶子さんのイラストが2作。2月号の「あなたを食べよう」、6月号の「アスファルト螺旋遊戯」です。前者はほんっとに個人的に大好きな作品で、この辺りから『竹岡美穂』という名前を明確に覚えるようになりました。

10月号から、「パーソナル・プロフィール」という、巻末でその号に執筆された作家さんやイラストレーターさんの近況報告を書く欄のイラストを担当します。これは2001年まで続きました。

そして12月号、妹の竹岡葉月さんがデビュー。デビュー作のイラストを美穂さんが描いてます。なんて家内制手工業、と誰もが思っていたら、翌年に出た葉月さんの初単行本も竹岡姉妹の共作になっていてさらに感動することになるのですが、それはもう少し先の話。

2000年

ついに書籍デビュー。深谷晶子『水のなかの光り』、竹岡葉月『ウォーターソング』の2作が出ました。さらに、『ダイエット・ノート』という、コバルト文庫にしては異色のダイエットの記録を書くためのノートみたいな文庫本の挿絵も描いてます。謎。
パーソナル・プロフィールの方は延々続いています。とりあえず毎号毎号美穂さんのイラストが楽しめてうれしかった日々。

水のなかの光り (コバルト文庫)

水のなかの光り (コバルト文庫)

ウォーターソング (コバルト文庫)

ウォーターソング (コバルト文庫)

2001年

4月号で、パーソナル・プロフィールが終わってしまいました……。切ないなあ、と思っていたら、なんとあの『丘ミキ』の新装版イラストを描き始めてました。すごい。
あと、10月号で、竹岡葉月『見ザルの部屋』のイラストを描いてます。ショートショートで、後ろ姿/暗い中でうずくまる少女/クッキーとてのひら、というあっさりしたイラスト。ううむ。
ちなみにこのショートショート特集は、竹岡葉月深谷晶子に松井千尋、という個人的にはめちゃくちゃつぼな3人による共作と、座談会記事が載ってます。すばらしい。

さらに、この年の12月号あたりから、テディベアのイラストを描くようになります。通称「クマ期」のはじまりです(嘘)。

2002年

旧作の新装版のイラストレーターとして、はたまたクマ絵職人(謎)としての活躍した年。『丘ミキ』の次は田中雅美『アリス』シリーズのイラストを描かれています。
新作短編のイラストとしては、片山奈保子『さよなら月の船』のイラストを描いています。これは作中にテディベアが出てくるので、やはりクマを描かせれば日本一、ということで抜擢されたんでしょうか……。

さよなら月の船 (コバルト文庫)

さよなら月の船 (コバルト文庫)

2003年

この年はクマしか描いてないんでしたっけ……? ちょっと停滞期、だったのかも。

2004年

コバルト掲載の片山さんの短編のイラストを描かれたりしたのですが、この年の10月、ついにコバルト以外でイラストを描かれます。木村航さんの『ぴよぴよキングダム』ですね。いやー、びっくりしたものです。
そして11月には風野潮さん『アクエルタルハ』のイラストも担当。こちらはカラフル文庫で、探すのに時間がかかりました。少しずつ、活躍の舞台を替え始めた時期でした。

アクエルタルハ〈1〉森の少年 (カラフル文庫)

アクエルタルハ〈1〉森の少年 (カラフル文庫)

2005年

ぴよぴよキングダム』『アクエルタルハ』それぞれ続巻が出たため、そのイラストを描かれています。『アクエルタルハ』の方は、第1巻ではいつもとはちょっと違う、あんまり淡くないタッチの絵だったのに、巻を追う毎にふだんの美穂さんな絵になっていくのがなんとも。
また、この頃はまだコバルトの仕事もしていました。片山さんの新作のシリーズ短編「空よりも青く染まれ」が6月号に載っています。

アクエルタルハ〈2〉風の都 (カラフル文庫)

アクエルタルハ〈2〉風の都 (カラフル文庫)

2006年

1月に『空よりも青く染まれ』が文庫化された後、この年の4月、ついに竹岡美穂さんの出世作野村美月さんの“文学少女”シリーズの刊行が始まります。4月、8月、12月と、等間隔で三作発表されました。
なお、コバルトで描かれたのは今のところこの年が最後です。

2007年

“文学少女”シリーズも順調に続き、ファミ通文庫オンラインにも番外編のイラストが掲載される中、「黄昏色の詠使い」のシリーズも始まります。いよいよ竹岡美穂さんが一般に広まってきた年、と言えるかも。
なお、「ライトノベル・フェスティバル」のポスターのイラストも美穂さんが描かれる、との情報が入ってきたのもこの年だったはず(LNF自体は翌年開催だったのですが)。また、「このライトノベルがすごい! 2008」のイラストレーター部門でも、堂々の第2位となったはず(資料が手元にない……)。

ちなみにこの年は、竹岡葉月さんが『マイフェアSISTER』で復活を遂げた年としても記憶に残る年です。

“文学少女”と穢名の天使 (ファミ通文庫)

“文学少女”と穢名の天使 (ファミ通文庫)

“文学少女”と月花を孕く水妖 (ファミ通文庫)

“文学少女”と月花を孕く水妖 (ファミ通文庫)

2008年

“文学少女”シリーズも「黄昏色の詠使い」シリーズもブレイクする中、ついに“文学少女”の最終話が刊行。その興奮も醒めやらぬ間に、画集の刊行のニュースが!
そして、「このライトノベルがすごい! 2009」では、イラストレーター部門第1位に。ようやく時代が竹岡美穂に追いついてきたのでした。

“文学少女”の追想画廊

“文学少女”の追想画廊


……こう見ると、2003年が一番あやうかった年で、それ以外は何かしらお仕事はされてたんですね。にしても、コバルトから他媒体への移行が無事にできて、活躍の場を広げる形になったことは、結果的には非常に良かったのではないでしょうか。
これからも、“文学少女”や「黄昏色の詠使い」をさらに上回るような、素晴らしいイラストを描いていただければなあ、と思う所存です。これからも応援してます!